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金沢地方裁判所 平成6年(わ)69号 判決 1994年7月19日

(一)

本店所在地 金沢市南新保町ロ二四番地一

法人の名称

三共グリーン株式会社

代表者代表取締役

中田了也

(二)

本籍 石川県鳳至郡穴水町字川島イノ九〇番地

住所

石川県鳳至郡穴水町字由比ケ丘はの二番地の三三

会社役員

中田了也

昭和一六年九月二八日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり判決する(公判出席検察官加藤俊治)。

主文

被告人三共グリーン株式会社を罰金一五〇〇万円に処する。

被告人中田了也を懲役一〇月に処する。

被告人中田了也に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告法人三共グリーン株式会社(以下「被告会社」という。)は、金沢市南新保町ロ二四番地一に本店を置き、造園、緑化事業、土木工事業等を目的とする会社であり、被告人中田了也は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人中田了也は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、工事代金の入金の一部を除外し、あるいは、架空の外注加工費を計上するなどの不正な方法により所得を秘匿した上、

第一  平成三年四月一日から平成四年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億三八九七万一三六八円であったにもかかわらず、平成四年六月一日、金沢市西念町一〇三街区一二番地所在の所轄金沢税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四五七三万九三五九円で、これに対する法人税額が一六〇七万七四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額五一〇三万九五〇〇円と右申告税額との差額三四九六万二一〇〇円を免れ、

第二  平成四年四月一日から平成五年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億二七六〇万三五八六円であったにもかかわらず、平成五年五月三一日、前記金沢税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五五四五万一〇〇八円で、これに対する法人税額が一九六五万九〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額四六七一万六〇〇〇円と右申告税額との差額二七〇五万七〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

括弧内の記号番号は、検察官請求証拠の記号番号(番号は記録上算用数字)である。検察官に対する供述調書は「検察官調書」、大蔵事務官に対する供述調書である質問てん末書は「大蔵事務官質問てん末書」と記載する。

判示事実全部について

一  被告人の検察官調書(二通。乙六、七)及び大蔵事務官質問てん末書(三通。乙一、四、五)

一  宗本幸子の検察官調書(二通。甲一七、一八)及び大蔵事務官質問てん末書(二通。甲一五、一六)

一  川嶋外男の大蔵事務官質問てん末書(甲二五)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(六通。甲一、二、六、七、九、一一)

一  検察事務官作成の電話聴取書(甲一四)

一  登記簿謄本(乙八)

判示第一の事実について

一  小寺貢(甲二一)及び荒井透(甲二二)の各検察官調書

一  稲川貞子(甲一九)及び寺田俊博(甲二〇)の各大蔵事務官質問てん末書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(二通。甲三、一〇)

一  金沢税務署長作成の証明書(甲一二)

判示第二の事実について

一  浅野雅春の検察官調書(甲二三)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(三通。甲四、五、八)

一  金沢税務署長作成の証明書(甲一三)

(法令の適用)

一  罰条 被告人中田了也について、第一、第二につきそれぞれ法人税法一五九条

被告会社について、第一、第二につきそれぞれ同法一六四条一項(一五九条)

二  刑種の選択 被告人中田了也について、所定刑中いずれも懲役刑を選択

被告会社について、いずれも情状により法人税法一五九条二項を適用

三  併合罪の処理 被告人中田了也について、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重)

被告会社について、刑法四五条前段、四八条二項(各罪の罰金の合算額以下で処断)

四  刑の執行猶予 被告人中田了也について、刑法二五条一項

(量刑の理由)

本件は、二事業年度にわたり合計六二〇〇万円余の法人税をほ脱した事犯であるところ、被告人中田了也は、経理担当者に帳簿の操作を指示したほか、取引先に依頼して仕入代金の水増し請求書等の交付を受けて架空経費を計上するなどして所得を秘匿しており、犯行の態様も悪質であって、その刑事責任は軽視できない。

しかしながら、被告人中田了也は、本件犯行を率直に反省しており、過去に罰金刑に処せられたほかには前科もないこと、被告会社は、法人税本税、延滞税等の支払を済ませ、重加算税等についても今後分納していくことになっていることなど酌むべき事情もあるので、主文の刑を量定し、被告人中田了也については、特にその刑の執行を猶予することとする。

(裁判官 三宅俊一郎)

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